原点・ヨーロッパでの学び
生まれた時から馬はいつも身近な存在であり、競走馬に囲まれて育ちました。
16歳の時にアイルランドのJ.J. Lennon(J.J. レノン調教師)の元で馬に関する基本を学び、ここでの経験が本格的に競走馬と関わり始めた原点になります。
それから約10年間、アイルランド・イギリス・フランス・アメリカと海外で調教を学び、一時期将来はジョッキーになりたいという夢もありました。イギリスで見習いジョッキーの影響を受け、自分もジョッキーになれるチャンスがあると思いアマチュアジョッキーとして騎乗した経験もあります。
イギリスのウェストオックスフォードシャーカレッジで馬学・経済学を専攻し、在学中にフランスへ渡りChristanne Head(クリスティア・ヘッド調教師)の元で修行をしました。ここでの滞在はイギリスとフランスの厩舎の相違点を学ぶ貴重な経験となりました。
大学卒業後は世界の調教方法に関する知識を深めるためアメリカへ渡り、Robert J.Frankel(故ロバート・フランケル調教師)の元で調教助手として勤務していました。
フランケル厩舎に在籍していた期間がGⅠ 年間25勝という大記録を樹立した時期と重なり、Empire Maker(エンパイアメーカー)、Medaglia d'Ore(メダグリアドーロ)、Aldebaran(アルデバラン)等、数々のG1ホースに跨がり調教できるという、またとないチャンスとなりました。
また、超一流馬を体感できる貴重な経験もでき、中でもJuddmonte Fram(ジャドモントファーム)からの超一流名血馬の背中の感触・動き・立ち振る舞い・シルエット・競馬のパフォーマンスは今でも鮮明に記憶しています。
アメリカでは育成牧場の分野にも目を向け、Robert Scanlan(故ロバート・スキャンロン調教師)の元でも勤務していました。ここでは、2歳トレーニングセールの調教助手を勤め、ダーレーやクールモアなどの大手グループの馬の馴致・育成に携わりました。その間、Bernardini(バーナーディーニ)、Rag to Riches(ラグトゥリッチズ)等にも跨がる事ができ、さらに貴調な調教経験が積めたのではないかと思っています。
海外で学んだ約10年間、数々の厩舎・調教師の元で経験を積んだのち、人生における勝負をするため日本に帰国しました。
海外での経験が長かったことから日本人としての誇りを強く持つようになり、自分の強みを最大限発揮できる場は日本だと確信し、日本で調教師を目指す事を決意したのが27歳の時です。
帰国後、栗東橋田満調教師の元で攻馬専業助手としてお世話になり、海外とは異なる日本の競馬や文化を学びました。
2012年に調教師免許を取得し、開業までの2年間、競走馬界において馬術の先駆者でもある藤原英昭調教師の元、馬術のテクニックも学びました。
藤原厩舎ではGⅠ 馬であるエイシンフラッシュ号やトーセンラー号の調教にも携わりました。
2014年3月、35歳の時に念願の中内田厩舎を開業しました。日本の競走馬の質は海外と比べても引けは取っていません。大切なのは調教の質だと考えています。今後、1頭でも多くの馬を世界で活躍させることができるよう毎日の調教を大切にし、世界中どこへ行っても能力を発揮できる馬づくりができる厩舎を目指していきたいと思っています。