ダノンプレミアム号、引退によせて
1 July /from Staff
長年、厩舎の総大将として看板を背負ってくれたダノンプレミアム号が現役を引退することになりました。長らくの協議の結果であります。
父ディープインパクト、母インディアナギャルという血統の2歳馬が、我が厩舎に入厩したのは2017年5月12日。その名をダノンプレミアムと名付けられた馬は、頗る順調に調教をこなし、垣間見える能力の高さに、スタッフ一同かなりの手応えを感じていました。そしてそれは迎えた6月25日に阪神で行われたデビュー戦で確かなものとなりました。
まさに圧勝。先の活躍が充分に期待できる結果を得ることができたのです。
その後、休養を挟み、東京で行われたサウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ)をレコードタイムで勝利。重賞タイトルを掴むことができました。
そして2歳チャンプを目指して出走した朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)では、後のタイトルホースに影をも踏ませず、3馬身半の差をつけて再びレコードタイムで快勝。無敗でのGⅠ制覇と共に、2歳チャンピオンの称号を獲得いたしました。
翌年3歳を迎え、3月4日の弥生賞(GⅡ)から始動。
ここでも、後のダービー馬を抑えて快勝。一気にクラシック有力候補に躍り出てくれました。
しかし、彼をはじめ我々を襲った悪夢。皐月賞(G1)に向けての調整の中で、右前脚に挫跖を発症。皐月賞の回避を迫られました。それでも、獣医師、装蹄師、そして担当厩務員をはじめ、厩舎一丸となって治療を行い、日本ダービー(GⅠ)の舞台へ。1番人気にご支持いただき、胸を張っての出走でしたが、6着と初めての土を味わいました。
その後は治療と成長促進に専念。明けて4歳となった彼は金鯱賞(GⅡ)、マイラーズカップ(GⅡ)と重賞を連勝。満を持してのGⅠ挑戦となった安田記念では、少し運の悪さもあり勝つことができませんでした。
秋には天皇賞(GⅠ)、マイルチャンピオンシップ(GⅠ)を連続して2着。
本当にあと1歩のところに迫る活躍を見せてくれました。
5歳を迎えた彼は、厩舎初となる海外遠征に果敢にチャレンジいたしました。すでに世界で始まっていた新型コロナウイルス感染症の蔓延る中、オーストラリアのロイヤルランドヴィック競馬場で行われたクイーンエリザベスステークスに参戦。酷い馬場に泣き3着ではありましたが、手綱をとったジェームズ・マクドナルド騎手は、例年の馬場であれば、もっと良い結果を残せたとコメントしてくれました。
帰国後、安田記念、天皇賞秋に出走した後、暮れには再び、香港への海外遠征。沙田競馬場で行われた香港カップ(GⅠ)にチャレンジ。4着とがんばってくれました。
そして今年は3年連続となった安田記念(GⅠ)に出走し休養に入りました。
中内田厩舎の中でも成績が示す通り、やはり屈指の身体的能力と素晴らしいエンジンを兼ね備えた馬であることには間違いはなく、競馬が生き物である以上は難しい一面であるとはいえ、本当にマイルから2000mでは負けないのではないかというくらいのポテンシャルを十二分に感じることもありました。
厩舎最初のGⅠタイトルホルダーとしてずっとトップホースとしてがんばってくれ、海外遠征まで挑戦させてくれた彼には深い深い感謝しかありません。我々中内田厩舎スタッフにとっても、たくさん学ばせてくれた彼は一生教科書となります。そして競走成績として歴史に名を刻むだけでなく、ホースマンとしては、近い将来、彼の産駒に触れてみたい、携わってみたいという夢も繋いでいきたい想いがあります。
しかし今は、永く厩舎の総大将として大きなステージで駆け抜けてくれたダノンプレミアム号に、ありがとうとお疲れさまの言葉を掛けるほかありません。
そして本当に永く永く、ご声援いただいたファンの皆様、牧場関係の皆様、ダノンプレミアム号を取り巻いていただいた方々に深く感謝いたします。ありがとうございました。
馬主 (株)ダノックス
生産者 ケイアイファーム
獲得賞金 ¥418,129,000